Sommetimes読者の皆様、こんにちは。
ライターの森本 浩基です。
暑さが少し和らぎ、これからより一層ワインが美味しく感じる季節ですね。
さて今回は、ワインを飲むシチェーションのお話です。
シェフ自慢のスペシャリテと共に、ピカピカに拭き上げられた上質なグラスでソムリエの華麗なサービスを受けながら飲む一杯は、様々な職種のプロが作り出すレストランならではの、至極の一杯でしょう。
グラスの選定、提供温度などを考えて供される一杯は、ワインの奥深さとソムリエの仕事の偉大さを感じさせてくれます。
完璧なまでに計算されて作り上げられた、レストランで飲むワインが至高なのは確かですが、私が個人的に最も好きなシチェーションは、自然の中。
辺り一帯を木々に囲まれた、静かな山や森の中で飲むワインは、その一杯が全身に沁み渡り、まるで血液とワインが同化したかのようなある種のトランス状態に入ることができます。
サウナ好きな方なら、「ととのう」感覚といえばおわかりいただけますかね。
飲むワインは、畑で農薬を使わない、雑草も無駄に抜かない、醸造においても人為的介入を控えるなど、できる限り自然に作られたワイン。
ぶどうが育った環境や、ワインが作られる環境に近いと、そのワインや生産者の想いをより一層肌で感じることができるんですよね。
これまでたくさんのワインを、山奥に持って行って飲んできましたが(山小屋泊の登山に、1Lボトルを8時間背負っていった時は途中何度も置いていきたいと思いました。)、その中でも特に印象に残っているワインが今回のワイン、フランス・アルザス地方より、ジャン・マルク・ドレイヤーが作る限りなく赤に近いロゼ。
生産者:Jean Marc Dreyer / ジャン・マルク・ドレイヤー
ワイン名:Pink Pong 2020 / ピンク ポン
葡萄品種:50% ピノ ノワール 50% ピノ グリ
ワインタイプ:Rose / ロゼ
生産国:France / フランス
生産地:Alsace / アルザス地方
ヴィンテージ:2020
インポーター:有限会社 ヴァンクール
参考小売価格:¥5,000
2種類のぶどうを一緒に発酵させて作る「混醸」という方法で作るこちらのワインは、アルザスのピノ・ノワールらしいドライフルーツ(いちご)と柑橘類の皮の香りに、ピノ・グリの桃やメロンといった甘味のある果実味が見事に調和した、その名の通りピンポン玉のように軽やかでポップ、弾けるような味わい。
身体にスッと馴染む優しいこちらのワインは、合わせる料理も手の込んだ複雑な料理ではなく、食材そのもの味を楽しむシンプルに調理したものが良いですね。
これからの季節、紅葉とワインなんて最高な贅沢ですね!
<ソムリエプロフィール>
森本 浩基
1989年 大阪府生まれ
大阪のイタリア料理店でソムリエのキャリアをスタートし、その後はフランス料理店、スペイン料理店などで研磨を積み、2017年カリフォルニア ナパヴァレー Matthiasson で醸造を経験後、当時 Asia 50 Best Restaurant 4年連続 No.1 のインド料理店 Gaggan でソムリエを務める。
2020年東京兜町、Caveman ヘッドソムリエに就任。