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日本ワインのグラン・クリュ

今回は日本ワインの優れた産地、つまりフランスなどのワイン産地でいうところの「グラン・クリュ」と呼べるような畑、エリアを日本のエリアの中で探究してみたい。テロワールの探究が進む今、「日本ワインのグラン・クリュ」とは何かを考えた。 勿論日本ワインにおいて「グラン・クリュ」の格付けは存在しないが、突出した個性を持ち優れたワインを生産しているなどの条件にかなうものは存在する。 まず「グラン・クリュ」とは何かを考えた時に、全国の造り手の元に訪問させていただき「ワイン畑」から感じることの中でも、美しさを感じる畑には、造り手のこだわりや想いが詰まっていることが多いという点をひとつに挙げたい。そしてその土地の個性、造り手を表現している畑、唯一性のあるワインを生産している場所に日本ワインの真髄があると確信している。 例えば 東御のシャルドネはテクスチャーがしっかりしていて酸味も保たれている」 余市のピノ・ノワールはライトでフルーティーかつ滋味深い」 など品種と地域、畑を紐づけた地図が描けるようになると面白い。 すでに穂坂のマスカットベーリーA、勝沼の甲州などは生産者が長きにわたり地域、畑の特徴を追求している。多くの造り手と飲み手が共有することによって新しい「日本ワインのグラン・クリュ」は生まれるのではないかと思っている。 日本ワインの文化を発展させて未来のグラン・クリュが次々に生まれてくることに期待をしつつ、今回は私が現在思う日本ワインの中でも突出した畑と、それらが位置する4つのエリアを紹介したい。 ①北海道 余市郡 余市町登町 (ナナツモリ)畑 ピノ・ノワール 「温暖な気候と適度な雨、間違いなく世界クラスのピノ・ノワール」


・余市町は暖かい海水の影響を受け、北海道でも比較的温暖なエリア。降水量は年間約1000ミリ程度で多めだが台風の影響は無い。 余市全体は安定したブドウの供給地であり、まさに特級畑と呼ぶに相応しい。

②山形県 上山市 自社農園タケダワイナリー マスカット・ベーリーA古木 「樹齢80年以上、ベーリーAの歴史奥深さを感じ進化し続ける畑」

・蔵王連峰の麓、上山市1920年頃から自然のサイクルを生かした減農薬、無化学肥料によりブドウ栽培が行われている。開園以来自社畑のみで三世代にも渡りブドウは守られてきた。ここの畑から生み出されるワインは時間とストーリー、歴史ロマンを感じる。

③長野県 塩尻市 桔梗ケ原地区 メルロー 「日本の正統派メルローであり世界に発信続ける。水はけが抜群で繊細さも合わせ持つ、これぞ桔梗ケ原」


・塩尻市は北西に3000メートル級の山が連なる北アルプス、南に木曽山脈、東に高ボッチ山と山々に囲まれた盆地が特徴。雨が少ないエリアで特に市内を流れる奈良井川と田川に挟まれた扇状地の桔梗ケ原地区は、粘土質で水はけの良い火山性堆積土壌。明治初期からブドウ栽培が行われていたこのエリアはオーセンティックな歴史を持ち、進化を止めない。

④山梨県 笛吹市 御坂町 伊勢原 甲州 「甲州のテロワールを知らしめるきっかけとなった偉大な畑 」


・山梨県勝沼町で創業したワイナリー勝沼醸造さんの元で地域と農家との関係を大切にし、甲州のワイン造りに特化。このブドウ畑のあるエリアは笛吹市を流れる金川やその支流によって運ばれた砂や小石が多く抜群に水はけが良い。樹齢20年棚栽培。2000坪(約0.6ha)。まさしく世界レベルの甲州ワインはここから発信される。

総評として 現在日本では、全国でワインが造られていて、品種も欧州系やアメリカ系、 食用ブドウ、土着の山ブドウを使った ものまで多様性があるのが特徴。日本ワインは、その品質に比べて値段が高いというイメージでした。 しかし 年々のそのイメージも変化し、現在では日本のテロワールを反映した素晴らしいワインが登場している。日本ワインのキャラクターを大切にしながら、これからの発展も追って行きたいと思う。


<ソムリエプロフィール>

矢田部 匡且/ Masakatsu Yatabe

「東京エディション虎ノ門」ヘッドソムリエ


「エディション」は「ザ・リッツ・カールトン」と並ぶ、マリオット・インターナショナルにおける最高級グレードのラグジュアリーホテルブランド。上質なラグジュアリーとライフスタイル型を融合させた世界が注目する最先端のホテル。現在、ニューヨークのタイムズスクエア、ウエストハリウッド、ロンドン、マイアミビーチ、バルセロナ、中国の上海、三亜、アブダビ、トルコのボドルムに展開し、2020年にイタリア・ローマと東京で開業予定。



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