伝統的な文化やしきたりを守る事に人間は固執する。
「日本古来の伝統を守る。」
「先祖代々そうしてきたからそれに従う。」
我々日本人もそれが好きな人種である。
「伝統に背く。」
「新しく何かを変えよう。」
と運動を起こすと、他方から強制の圧力が強くかかるのは必然といえる。
ワインの法律に対しても、勿論それは例外ではない。特に歴史ある生産国程、様々な障害や問題が付き纏う。
ある国で今正にその伝統へ正面から向き合い、国を挙げて一新しようとする大きな動きが見られる。
それは国民性を見ても勤勉でルールを遵守することに重きを置く、旧世界生産国ドイツである。
去年の8月末日、幸運にもドイツを訪れる機会に恵まれた。まだまだ日本も残暑を感じる夏の終わりだった。
今回はドイツ・ワインインスティテュート(DWI)が発足した、世界13か国共通の教育制度 German Wine Academyの、日本における運営オフィスWines of Germany様のご招待によりラインガウとラインヘッセンを巡るプログラム。
元々三年前にお声がけいただいた案件ではあったものの、コロナ禍もありなかなか決行には到らず、満を辞しての開催となった。
旧世界の中でも近年、世界的に注目を浴びているドイツではあるが、まだまだ日本国内では需要が伸び悩んでいる現状を耳にする。
今回は現地での自身の体験なども交えて、少しでもその魅力を発信しドイツワインの発展に貢献が出来ればと思っている。
改めてテーマはどうしようかと考えた際に、過去を振り返るとこのソムタイム原稿内でも、既にたくさんの方々がドイツワインの魅力や、多様性を発信してきた。
実際ドイツワインの今を語る上でトピックになりそうな面白い点は様々あると思う。
・各産地での団体による活動や若い世代の台頭、伝統との共存について。
・21世紀初頭のリースリング•ルネッサンスなどに始まり、世界的な人気品種の地位を確立しようとするリースリングの魅力を改めて掘り下げる。
・リースリング以外の白葡萄品種や特に今国内消費を伸ばしている赤ワインの現在のクオリティと可能性。(グローバル・ワーミングのもたらす影響など)
・国内最高峰のスパークリングワインであるSektの品質や新しいスタイルPét-Natの台頭。
・VDP(醸造所連盟)による活動の現在への影響。
・去年初リリースより20年を迎えた同団体の最上位辛口ワインの格付けである、Großes Gewächs(グローセス・ゲヴェクス 通称G.G.)の現在の品質について。
近年の動向一つを辿っても話題性には尽きないドイツだが、今回は前述した、国を挙げて移行に取り組んでいる新しいワイン法についてフォーカスを当ててみた。