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グレドスワインの軌跡

スペインの首都、マドリードの中心部から車で約1時間の距離にあるグレドス山脈は、首都圏に住む人々の間で人気のハイキング場所だ。


週末ともなれば、家族連れの観光客が遠足気分を満喫している。


東京に例えるなら高尾山のような感覚だろうか。  


その場所が今や、世界に知られるワイン産地になるとは、20年ほど前には想像もできなかったであろう。


絶景のハイキング場所は、標高500mから1000m超だが、中心部が500mの標高に位置するマドリードからの移動は、山を登ってきた感覚はない。ハイウェイで向かっていくと、美しい壮大な山脈が出迎えてくれる。険しい山間に葡萄畑があるのだが、まるで何十年も我々を待ってくれていたような、いや安易に近づいてはいけないような、おどろおどろしくも見える古樹達が点々と植っている。


今や高級ワイン産地として、まさに「穴場」的な場所からのシンデレラストーリーをもつ産地だが、スペインの中で、このような形で高級ワイン産地として世界中から注目を浴びた場所は、約30年前のプリオラート以来であろうか。


ほとんどのぶどう畑は 600~1,100 mの高台に位置し、中にはそれ以上のものもある。


山脈の冷涼さの中で、粘板岩土壌はガルナッチャに果実の豊かさと複雑さを、そして花崗岩土壌はフィネスと透明感を、石灰土壌はミネラルを与える。


何世紀にも渡り、その土壌と大陸性気候の厳しい気候が、元々植えられていたガルナッチャのキャラクターとあいまじり、グレドスワインという、「スペインで最もエレガントなガルナッチャ」、「グレドスのガルナッチャはまるでピノ・ノワールのようだ」、「神秘的な程のピュアさ、透明感、繊細さのあるガルナッチャ」と世界的な権威が表現するほど、唯一無二なスタイルを生み出す。

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