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そうだ 日本ワイン飲もう

今年の夏に起こった、例年とは違う出来事といえば、東京オリンピックでしょうか。


去年と変わらず未だ新型コロナ禍から脱せずにいる現状を悲観していてもしょうがなく、色々な意見、考えがある中で開催された今回のオリンピックですが、連日日本のメダル獲得のニュースに感動し、励まされ救われた自分もいます。


そんな中、オリンピックでも多々問題になった、日本の夏の高温多湿という気候は、やはりワインを飲む環境に置き換えても大きなポイントではないでしょうか。


自分は、いくらクーラーが効いている室内であっても、パワフルでしっかりした重めのワインはちょっと厳しいと感じることが多いです。


秋が近づいて、残暑の日々になっても、まだまだパワフルな赤に手が伸びません。


スッキリ、酸味がしっかり残っていてライトな白やロゼに、自然と手が伸びてしまう気がします。


でもやっぱり赤ワインも飲みたい。


しかも、たまにはライトなガメイやピノ・ノワールではなく、なんて事ありますよね。


そもそもワインを選ぶ時は味ももちろんですが、T.P.O.って基本だし凄く大事ですよね。


前置きが長くなりましたが、そこで今回は多種多様に大きな広がり、変化を続ける日本ワインを。(安直です)


日本ワインは近年、世界と比べると著しく遅れていた呼称制度や法整備も進み、さらに成長が加速していっている様に思います。


特にここ数年は、世界のコンペティションでも評価が上がっている、国際品種を主要品種として造られる、グランヴァンの様なスタイルのハレの日のワインもあれば、元々食用品種として栽培が広がっていたデラウェアやナイアガラ、スチューヴェンなどの、ヨーロッパなどではあまり使われない品種から造られるカジュアルなものまで。


特に後者は年々広がりをみせ、クオリティとオリジナリティが格段と上がり、新しいスタイルとして確立されてきています。



生産者:Fattoria Al Fiore / ファットリア アル フィオーレ

ワイン名:Verde / ヴェルデ

葡萄品種:カベルネ・ソーヴィニヨン メルロ 

種類:赤

生産国:日本

生産地:宮城 (葡萄は山形)

ヴィンテージ:2019

参考小売価格:3900円


そこで毎年リリースされるワインの中で、特に年々磨きがかかってきているなと思っている、宮城のファットリア・アル・フィオーレのワイン”Verde 2019”を選んでみました。


こちらのワインナリーについては、廃校になった校舎をリノベーションして醸造所にしたり、作り手さんが元々イタリアンの有名シェフでテレビにも取り上げられていたりと、異色な経緯から話したいとこがたくさんあるのですが、長くなるので割愛します。

是非ホームページなどで調べてみてください。


こちらのワイナリーが造るワインは、大きく分けて2種類。


先程述べた食用品種をメインに使用し、新しいスタイルを作り続けているNECOシリーズと、国際品種をベースにハレの日に飲んでも楽しめるFATTORIA AL FIOREシリーズ。


今回のVerdeは後者のシリーズに位置していて、葡萄品種もカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロと所謂ボルドーブレンドな訳ですが、重たいワインをまだまだ避けがちな残暑の時期でも、違和感なく楽しめるワインです。


ライトに仕上げるとどうしてもシャバシャバな印象になりやすいこのセパージュを、青みなく綺麗な酸味を纏いつつ芯のところにある果実味と旨味がじわっと広がり、とても心地よい余韻が伸びる心地よさは作り手の妙だなと感じます。


理由は多々あるのでしょうが、大きな理由の1つとして、同じ畑で収穫された同じ葡萄でも、醸し方や、発酵容器、保存する容器などを細かく変えながら別々に仕込み、それぞれの味わいのキャラクターを変えたものをいくつも造り、最後に出来上がるイメージをもちながらアッサンブラージュするというファットリア・アル・フィオーレならではの手法があります。


『口当たりの優しいワインでも味がぼやけてるのは嫌、お肉は塩とこしょうで味付けをキメられるし、料理は沢山のスパイスを足せるけど、ワインはそれが出来ないから色々な要素をもった味わいのワイン造って合わせる』


流石元料理人ならではの感覚に、話を聞いて納得の味わいです。


まだまだ若いワイナリーで、多様な品種とスタイルで造られる自由さで毎年変化が楽しい、是非チェックしてもらいたいワイン&ワイナリーです。


<プロフィール>

上原 剛 / UEHARA TAKESHI


1981年 千葉県生まれ

アメリカンレストラン勤務時、

フレアーバーデンダーとして全国大会出場

23歳で都内でスポーツ&ミュージックバーの立ち上げ店長を経験。

ミクソロジーカクテル、ウイスキーの勉強にと

2008年に渡英。

ロンドンにてレストラン勤務時にグランヴァンの魅力に惹かれ、

フランス、イタリア、スペインなどのワイン産地を巡りワインの道へ。

2010年帰国後、ナチュラルワインを多く扱うビストロ カメレオンのマネージャーに就任。

2015年に起業し独立。

2017年にワインバー Libre、

2018年にブラッスリー&カフェ TETをオープン。

現在、ナチュラルワインを中心としたお店を3店舗経営。

主にLibreのカウンターに立ち毎日ナチュラルワインをグラスで10〜15種類ほど提供している。



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