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古典的バローロ = 多様な土壌の集合体

伝統的な文化を変えず、現代的な造りで進化し、キング・オブ・イタリアワインとして多くの人達を魅了し続けてきたバローロ

世界マーケットでの人気も上がり、価格高騰が始まっているワインの魅力と近年の動向を、注目される南西エリアの生産者「G.D.Vajra」のワインで探ってみたいと思います。


単一畑名付きのBaroloが存在すると、畑名の付いていないワインはベースとかノーマルと呼ばれる事があります。この呼び名は単一畑のものに比べて劣っているかのような誤解を与える為、現地ではAnnata(その年の)やClassico(古くからの)と呼ぶ人もいます。そのClassicoとは以前論議された伝統なのか革新なのか?ということではなく、Baroloというワインはいくつかの畑のブドウを年々の状況により、その個性を組み合わせて生産者を代表するワインを表現することが古くから行われていた事を意味するのです。どの生産者にも当てはまることですが、まずはこの代表的なワインを飲むことでフィロソフィーや意図を理解し、その後に個性的なキャラクターを敢えて表現した単一畑のワインへと進んで頂きたいですね。ヴァイラはこの典型的なワインにアルベ(日の出)というイメージネームをつけています。


Baroloの土壌を理解する

バローロ生産エリアの土壌を理解するには、生産エリアを大きく3つに分けると理解しやすい。


Barolo、La Morra村のある北西部。エリア内で最も若いトルトリアーノ期の、主にシルトや粘土から構成される泥灰土壌の「マルネ・ディ・サンタガタ・フォッシリ」と呼ばれる泥灰土壌で、場所により粘土や砂の比率が変わり、比較的華やかなワインとなります。



Monforte d’Alba東部やSerralunga d’Alba村がある南東部。こちらは地層年度は古く、セッラガリーナ期の、海の深い底にあった青白い泥灰土と砂が圧縮された石灰を多く含む土壌で「フォルマツィオーネ・ディ・レクイオ」と呼ばれ、厳格な長期熟成タイプのワインになります。



Castiglione FallettoからMonforte d’Albaの中心地に向かうエリア。「アレナリエ・ディ・ディアーノ・ダルバ」と呼ばれるしっかりと圧密された海底の堆積土(砂)が何層にも重なる砂岩土壌で、しなやかさとミネラル分に富んだワインが生まれます



G.D.Vajra, Barolo Albe

生産者:G.D.Vajra / ジィ・ディ・ヴァイラ

ワイン名:Barolo Albe / バローロ アルベ

葡萄品種:Nebbiolo / ネッビオーロ

ワインタイプ:赤ワイン

生産国:イタリア

生産地:Piemonte / ピエモンテ州

ヴィンテージ:2016

インポーター:テッラヴェール

参考小売価格:¥6,600


味わいはバラやスミレ、干し肉やなめし皮のニュアンスがありながらも、フレッシュ感を保った清々しさが印象的です。しなやかな酸味とミネラル由来の旨みが、キメ細やかなタンニンを柱に、重すぎないストラクチャーで調和して、芳香性の高い余韻へと続きます。

世代交代が進み、設備投資も積極的な生産者も多く、芯のある味わいに華やかさや瑞々しさを伴った現代的なバローロの典型的な味わいとも言えるでしょう。


日本ではバローロは熟成してから飲むという感覚が根付いているように思われますが、現地ではその年にリリースされたワインをレストランでサービスしていきます。

澱がなければエアリングの為にデカンタージュをすることもないように思われます(お客様の好みによりますが)。

その概念から考えれば、抜栓からすぐに香りや味わいが立ち上がる、18~20℃の温度が理想的。華やかさを表現したいのであれば、ブルゴーニュという選択もありますが、最近はボルドーグラスでのサービスを望むソムリエや生産者が多いように感じます。

肉の旨みが詰まったラヴィオリや煮込み料理、しっかりと焼き切った牛肉などが食べたくなります。ヨードの味わいに蛤の醤油焼きや昆布巻きなどのペアリングも良いかもしれません。

個人的にはイカの墨煮や雲丹との相性も好きで、是非試して頂きたいと思います。 <ソムリエプロフィール>

永瀬 喜洋 Yoshihiro Nagase

株式会社 クアトロヴィーニ 代表取締役


プロフィール

2001年 イタリアに渡り、レストランにてソムリエとして従事しながら20州のワイン生産者を訪ね見聞を広げ、2007年までの間に日本とイタリアを行き来し数々の新規レストラン立ち上げに参画。

2014 年  第8回イタリアワイン・ベストソムリエコンクール(JETCUP) 優勝

駐日イタリア大使館公認 イタリアワイン大使 拝命

2018年  株式会社 クアトロヴィーニ設立

2019 年  Italian International Indigena Center Piemonte Specialist 資格取得


<株式会社 クアトロヴィーニ>

ワイン輸入業者へのセールスアドヴァイス、ワイン販促プロモーションの企画・運営、通訳、食事会ナビゲーター、セミナー講師、飲食店へのワインリストの提案やスタッフ教育等を中心に経営

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