少しマイナーな産地で、驚くべきワインの数々と出会った時、私は一人のワイン人として、この上ない喜びを覚える。
日本では話題に上がることすらないような未開の地に足を踏み入れると、私はジャーナリストとして、強い使命感を感じる。
真摯にワインと向き合い、楽しみ、喜ぶ人たちと出会う度に、私はワインを好きになって本当に良かったと心から感じる。
Bairradaへの一人旅は、そんな「出会い」に満ち溢れていた。
歴史
Bairradaが、ワイン産地として公式にその境界線を定められたのは1979年。
その事実だけを見るとまるで新興産地のようだが、真実は異なる。
10世紀にはすでに、キリスト教徒によってワイン造りが行われていたBairradaは、古都コインブラ(1139年から1255年までの間、ポルトガルの首都でもあった)、そして北西部の大都市ポルトにとって、極めて重要なワインの供給源だった。