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黒の楽園 <オーストリア・ブルゲンラント特集:前編>

ワイン産出国としてのオーストリアを象徴しているのは、グリューナー=ヴェルトリーナーとリースリングをダブル主役とする、圧倒的な品質領域にある白ワインの数々。


そこに異論があるわけではないが、相対的に赤ワインが過小評価されている点に関しては、納得がいかない。


ブラウフレンキッシュサンクト・ラウレント、そしてツヴァイゲルト


オーストリア三大黒葡萄の全て、とまでは言わないが、少なくとも最上の例に関しては、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガルなどの象徴的な黒葡萄と比べても、遜色する点など全く見当たらないからだ。


つまり、それらの主産地であるブルゲンラント州は、ボルドー、ブルゴーニュ、ローヌ、ピエモンテ、トスカーナ、リオハ、リベラ・デル・デュエロ、ドウロなどと、本来なら並び称されるべき産地であると、私個人の意見をここに強く記しておこう。


私自身、ブルゲンラント州の赤ワインとは、随分と長い間向き合ってきた。


調和に満ちたブラウフレンキッシュ、エネルギッシュなサンクト・ラウレント、変幻自在なツヴァイゲルト


魅力の在りどころは異なっていても、どれも品質と個性を高次元で共存させることができる極上の黒葡萄であることには、疑問の余地すらない。


ではなぜ、オーストリアの赤ワインは不遇とも言える扱いを受けているのか。

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