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味が変わる=悪、なのか

去年と味が違う。10年前の方が良かった。30年前は全てが素晴らしかった。


ワインというのは、何かにつけて、味わいの変化が否定的にみなされる事が多い(その逆もあるが)飲み物だ。


もちろん、そう言いたくなる気持ちも分からないではない。


ビールに関して、「昔のキリンの方が良かった」なんていう意見は滅多に聞かないし、ウォッカやジンもそうだ。


我々が日常的に口にするアルコール飲料の中に、本質的には味わいが変化しないタイプのものが数多くあるからこそ、一部の「変わるもの」に対して、時に過敏に反応してしまう。


少し例外が見え隠れしてくるのは、ウィスキーや日本酒などだろうか。


ウィスキーはブレンドマスターの交代や、原酒の過不足、熟成樽の変更などによって、どうしても味わいが変わるし、日本酒も代替わりなどによってスタイルが全面的に刷新されることが多い。


これらの「変わることがある」アルコール飲料に共通しているのは、その変化が「人的要因」によって引き起こされている点と言えるだろう。


そして、人的要因による変化なのであれば、それは批判の対象となっても仕方ないとは思う。


理由は単純だ。人の手によって味わいが変わったということは、再び変えることもできる。それが可能なら、昔の味わいに戻して欲しいと願う人が出てくるのは至極当然のこと。


そういう私自身も、「昔のマッカランの方が好きだった」と口癖のように言っている。

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