ワイナリーの継承というのはとても難しい。
そもそも子供世代が大変な農作業を伴うワイナリーを引き継ぎたいとも限らないし、親が造っていたワインの品質を維持できるとも限らない。
ワイン造りに「人」が深く関わってくる以上、変化は避け難いものだ。
さらに、一般消費者だけでなく、ワイン業界に携わる人々も、代替わり後の品質に関しては、問答無用という厳しさで接することも多い。
そういう私も、ポジティヴとは言い切れない世代交代を何度も目にしてきたし、代替わり後にそのワインを全く購入しなくなったことも何度もある。
特に、親がレジェンド級の造り手であった場合、後継者にかかるプレッシャーは相当なものだ。
優れた造り手であった両親のもとに生まれた子供を、無条件で「サラブレッド」と表現したくなる気持ちはわかるが、現実はそう甘くない。
もちろん、この難しさを誰よりも理解しているのは、造り手本人だ。