ガストロノミック・ペアリングでは、中級者以上を対象に、より高度かつ複雑な技法を駆使した、美食的完成度の高いペアリングを紹介、検証していく。
第四回となる本稿より7回にわたって、日本料理(コース)の流れに沿ったペアリングの構築をテーマとしていく。
西洋料理とのペアリングとは違い、日本料理とワインの間には、クラシックという最適解がそもそも存在していない。
それは「自由」であると同時に、高度なペアリングを実現するためには、練り上げられた構成が必要となることも意味している。
さらに、コース料理ともなると、料理単位に対するアプローチと並行して、全体の流れも強く意識する必要がある。
つまり、料理に対してそのワインを合わせることで「何をしたいのか」という意図(アプローチ)を定めることと並行して、全体の流れにしっかりと「緩急」が生じるように、アプローチを柔軟に変化させつつ、ペアリングの「強度」を調整する、というかなり難しい作業となるのだ。