マメ臭とは、正式にはネズミ臭と呼ばれる欠陥臭に対する、日本独自の俗称だ。
この俗称には、日本人らしい「寛容さ」が現れていて、マメ=豆という、欠陥とは直接的には繋がりにくいイメージの言葉として定着してきた。
海外ではマメ臭に関連した一般的な表現として、「ネズミの死骸」や「腐った牛乳」といった強烈な腐敗臭を連想させる言葉が用いられる。
つまり、肯定的な要素は皆無であるということだ。
マメ臭は、発酵中もしくは熟成中に、過剰に酸素にさらされたときに起こると考えられている細菌汚染の一種で、現時点での研究では、乳酸菌が主因である可能性が高いとされているが、酵母菌のブレタノマイセスとの関連を指摘する研究結果も報告されている。
この乳酸菌が主因という説が間違いないのであれば、実は現在一部の特殊な日本酒に起こっている現象の説明にもなりえるのでは、と筆者は考えている。
過去回帰のムーヴメントは、何もワインにだけ起こるのではなく、現在日本酒の世界でも大きなうねりとなりつつある。