日本料理とワインの間に、およそ「伝統」と呼べるような関係性はまだ構築されていないし、日本料理と日本ワインの組み合わせが、他国のワインを使った時よりも優れているとも到底思えない。
クラシック・ペアリングとは、同じ地域の料理とワインが、非常に長い年月「同じ食卓」にあり続けた結果である。そして、その成り立ちも完全に恣意的なものではなく、潜在的集合意識が長期間にわたって働き続けたことによる偶発性が高いものだ。
つまり、極限まで噛み砕いて表現するのであれば、「なんとなく」が積み重なり続けた結果とも言える。
しかし、日本料理とワインのペアリング自体は基礎理論をしっかりと駆使すれば十分に対応可能だ。