Domaine Dandelion, Pet’ Nat 2022. ¥5,000
今回はあえて、この言葉を極端な意味合いで使うが、私はかねてから歴史的大銘醸地における「ナチュラルワイン」に、少々懐疑的な立場をとってきた。
理由は二つ。
まず、ナチュラルワインの中でも欠陥的特徴の現出を厭わない「ワイルドナチュラル」が、葡萄畑と葡萄のもつ個性をありのままに表現したいという造り手の想いとは反し、(往々にして稚拙で極端な)醸造工程によって発生した欠陥的特徴そのものが、テロワールと呼ぶべきものを相当程度覆い隠してしまう危険性を秘めているからだ。
もちろん、テロワールの精緻な表現よりも、最終的な味わいを自身が「美味しい」と感じることを最優先とするのであれば、問題とはならない。つまり、そこに個人的な「良し悪し」という二元論を他者に押し付けること自体が、「余計なお世話」ということだ。
よって、(クラシックワインと呼ばれるものの相当数も、過度な調整と矯正によって結果的にテロワールを失していることも踏まえ)本稿の内容はあくまでも私見であり、他者の考えを否定する類のものでは一切ない。