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再会 <65> 大ピンチを救ってくれた、思い出のワイン

La Biancara (Angiolono Maule), Sassaia 2022. ¥3,700

 

約12年前の年末、私は大ピンチに陥っていた。

 

当時NYのワイン業界では無名に等しかった私を、なぜか新プロジェクトのワインディレクターとしてヘッドハントした、今は亡き大恩師でもあるシェフ、デイヴィッド・ブーレーは、紛れもない天才中の天才だったが、いわゆる「サイコ」としても知られていた。

 

無理難題を突如押し付けてくるのは日常茶飯事、その荒波をなんとか乗り切りながらの仕事は、今思えば刺激的で充実したものだった。

 

ところが、年末が近づいてきたある日、ブーレーは私に「Mission Impossible」と思えるような超難題を放り投げてきた。

 

当時働いてレストランは、フレンチの要素を取り入れた高級和食店

 

そして、和食店の年末年始といえば、おせち料理にも関連した難食材や料理が多く出てくる。

 

普段なら、そういう料理に対するペアリングは日本酒でかわしてしたのだが、ブーレーは、「子持ち昆布のお浸し」というスーパーワインキラーに対して、ワインでのペアリングを要求してきた。

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