La Ferme de la Sansonnièr, Anjou “Vignes Françaises en Foule” 2002
敬愛する造り手は誰か、と問われたら、私は真っ先に彼の名を思い浮かべる。
マルク・アンジェリ。
フランスのロワール渓谷で、孤高のワインを生み出す賢人だ。
マルクは『ラ・フェルム・ド・ラ・サンソニエール(以下、サンソニエール)』という名の農場を経営しており、ワイン造りだけに留まらず、驚異的なジュ・ド・ポム(リンゴジュース)や、ミエル(蜂蜜)なども生産している。
農園は1990年から既にビオディナミで管理され、マルク自身も自然の力を最大限に引き出すために苦心しながら、様々な挑戦を続けてきた。
特定のワインに対してあまり思い入れをもたない筆者にとっても、そんなマルクのワイン(サンソニエール)は特別な存在だ。
なにせ、私とサンソニエールの間には、いくつものエピソードがある。
もう15年以上前になるだろうか。
当時は、いわゆるクラシックワインというものを集中的に学んでいた私が、徐々にナチュラル回帰の世界へと引き込まれていくきっかけとなるワインとの出会いを繰り返していたタイミングだった。
その最初期に出会い、以降の私のワインとの付き合い方を決定づけたとも言えるのが、サンソニエールだ。
サンソニエール無くして、今の私は無い。
そう言っても、決して大袈裟では無いだろう。