Arnot-Roberts, Sauvignon Blanc “Randle Hill Vineyard” 2020. ¥5,300
圧倒的な才によって、その産地のイメージを一変させてしまう。
そんな造り手が、世界各地に僅かながら存在している。
その最たる例の一つは、カジュアルワインというイメージがこびりついて離れなかったフランス・ロワール渓谷の小産地プイィ・フュメを、ソーヴィニヨン・ブランの聖地へと押し上げた故ディディエ・ダグノー。
ダグノーの場合は、純粋な品質面での劇的な進化でもって世界を驚かせたのだが、少し違った角度から、イメージが一新されるパターンもある。
例えば、カリフォルニアのアルノー=ロバーツがそうだ。
アルノ=ロバーツが登場する前は、(正確に言うと、同時多発的に同様の造り手が複数誕生したが、インパクト面ではアルノ=ロバーツがダントツ)カリフォルニアのワインは、白、赤共に樽のしっかりと効いた濃厚で重厚なワインと言う画一的なイメージに支配されていた。そしてその味わいは、テロワールの特徴とすら言われていた。
そんな中、アルノー=ロバーツは、繊細で緻密で優美なワインを引っ提げてデビューした。