Van Volxem, Riesling Wiltinger Schlangengraben 2002.
ワインはいつ開けても良い。
私が常にそう考えている理由は、数多くの先人たちによる、「偉大なワインは、若くても、熟成していても、美味しいものだ。」という類の意見に同調しているからでは無い。
むしろ、「いつ飲んでも美味しい」には全くもって同意しかねる。
「美味しい」という感想は、究極的に主観的なものであるため、当然、個々人の「好き嫌い」とは密接に関わっている。
フレッシュな果実味が全開になった味わいが好きな人も、ほどほどの熟成を経て複雑性を増した味わいが好きな人も、長期熟成によって枯れた味わいが好きな人もいる。
少数派だとは思うが、ワインが若すぎて全然開いてない状態の方が好きな人もいるだろうし、果実味が跡形もなく抜け落ちるほどの熟成状態が好きな人もそれなりにいる。
その嗜好のヴァリエーションは無限大に限りなく等しいため、「美味しい」という主観を、「いつ飲んでも」というフルオープンなコンディションと連動させるのは、流石に無理があり過ぎる。
では、なぜそれでも私は、「いつ開けても良い」と考えているのだろうか。