Remi Dufaitre, Beaujolais Villages Nouveau 2022. ¥3000
11月の第3木曜日午前0時。
1985年の制定以降、ボジョレー・ヌーヴォーの解禁を祝う瞬間として長年親しまれてきた、日本ワイン市場最大規模のイベントである。
近年はその盛り上がりも右肩下がりの傾向にはあったが、決定的な転機が2022年に訪れたことを、記憶している人も多いだろう。
ロシアによるウクライナ侵攻が直接的な要因となって発生した燃料危機に伴い、現地での物価と空路での輸送費が高騰した結果、2022年度のボジョレー・ヌーヴォー輸入量は、前年比45%減ともされる量にまで落ち込んだ。
この数値は、サントリー社の統計によると、ピークを記録した2004年と比べると、なんと85%減にもなるとのことだ。
さらに、価格の高騰を押し切って輸入されたボジョレー・ヌーヴォーは、解禁日から半年以上経った現在でも叩き売りされている光景を頻繁に目にする。
生産者は輸出量減に苦しみ、インポーターは利益の圧縮に苦しみ、酒販店は在庫過多に苦しみ、消費者の多くはそっぽを向いた。
それが、2022年ヴィンテージのボジョレー・ヌーヴォーに突きつけられた現実だ。