Lamoreaux Landing, T23 Cabernet Franc “Unoaked” 2021. ¥4800
かつてはマイナスだったものが、時代の変化によって魅力的な要素へと昇華するというのは、ワインの世界においては良くあることだ。
そのようなトレンドのサイクルは、最短だと2~3年、最長でも10年あれば回ってしまうため、つくづく、ワイン業界に身を置く人々が日常的に晒されているアップデートの重要性を痛感する。
ワイン産業全体としての情報量も昔より遥かに多いため、全世界のワイン産地を対象にして研鑽してきた私も、いよいよアップデートを行い続ける対象を取捨選択するタイミングに来ているのではと、思い悩んでもいる。
気候変動が深刻化している近年は特に、私やその上の世代のプロフェッショナルたちが、膨大な時間をかけて理解してきた、世界各地のワインとそのティピシテに関する情報が、急速に「期限切れ」となってきているため、それこそ「世界規模」の学び直しを迫られている。
なかなか厳しい状況だが、また学べるのは幸せなこと、とも言えるので、楽しみながらアップデートを続けていきたいものだ。
さて、今回の再会は、昔の価値観ではマイナス要素やNG要素だったものが遠慮なく詰め込まれた結果、最先端とすら言える世界観を生み出してしまった、興味深い例となる。