一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回から、一般的な白ワインの醸造フローを学んでいきます。赤ワイン醸造と重複する部分もありますので、適宜参考にしながら読み進めてください。
本稿の内容は、<ワイン概論13:赤ワイン醸造1> 、<ワイン概論15:赤ワイン醸造3> ともリンクしています。
同じ工程であっても、赤ワインと白ワインとではタイミングや目的が異なる場合も多々ありますので、注意してください。
なお、日本のワイン教育においては、醸造用語としてフランス語を用いるのが今日でも一般的ですが、SommeTimes’ Academieでは、すでに世界の共通語としてフランス語からの置き換えが進んでいる英語にて表記します。また、醸造の様々な工程に関しては、醸造家ごとに異なる意見が散見されます。本シリーズに関しては、あくまでも「一般論の範疇」とご理解ください。
試験後に忘れてしまった知識に意味はありません。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「記号」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「何を意味するのか」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。SommeTimes Académieでは、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「リアル」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。SommeTimes’ Viewをしっかりと読み込みながら進めてください。
① 選果(Sorting)
健全な葡萄を選り分ける工程。手摘みの場合は、畑でも実質的な選果が行われることが多いです。ワイナリーに葡萄が運ばれると、選果台と呼ばれる台に乗せられ、ベルトコンベアー式の選果台では目視しながら手作業で、光学式(非常に高価)等の場合は、選果台そのものが選果を行います。
SommeTimes’ View
白ワイン用の葡萄を選果する場合、赤ワイン以上に腐敗果、過熟果、貴腐果に神経を尖らせる必要があるとする生産者と、赤ワインよりも気を使わなくても良いとする生産者に大きく流派が分かれます。前者は徹底的にクリーンで現代的なワインを目指す造り手に多く、後者は伝統的な手法を踏襲する造り手に多い傾向があります。
考え方が分かれる主な理由は、後述する圧搾のタイミングが、白ワインの場合は除梗と破砕の直後に来ることが多いため、腐敗果等が混入しても、大きなダメージにはならないと考えられているからです。また、伝統派の中には、多少の貴腐果が混ざっていた方が、複雑性が増すと考えている造り手も少なからずいます。