一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回もボルドー地方について学んでいきます。
ボルドー地方に関する基礎的な情報は、無料のものが十分に存在していますので、本シリーズでは基本的に割愛しますが、その代わりにより深いところを探っていきます。
ボルドー地方シリーズ第三回のテーマは、「Saint-Estèphe」と致します。
Saint-Estèphe
葡萄畑の総面積は1229haで、メドック地区全体の約8%に相当。
平均的な総生産量は約800万本となります。
第一級は無く、57の独立したシャトーのうち僅か5シャトーのみが、第二級〜第五級に渡って、1855年の公式格付けに名を連ねています。
格付けシャトーが少ない理由は、各シャトーの立地に関係していると推察されます。
Calon-Ségur(アペラシオンの中央東側に位置)は例外ですが、他の格付け4シャトーは全て、Pauillacとの境界に近い、アペラシオン南東部に集中しています。
緯度の関係もあり、PauillacやSt-Julienのシャトー群と比べ、Saint-Estèpheは冷涼感がより際立っていた。つまり、若い段階のワインが非常に頑強で渋味が強かったことが、1855年時点(当時は今よりも冷涼)では格付けシャトーが少なかった主因と考えられますが、単純にボルドー(街)から遠かった、という見解もあります。
どちらにしても、Saint-Estèpheにとっては、少々アンフェアな格付けとなったことは否めません。