一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回もボルドー地方について学んでいきます。
ボルドー地方に関する基礎的な情報は、無料のものが十分に存在していますので、本シリーズでは基本的に割愛しますが、その代わりにより深いところを探っていきます。
ボルドー地方シリーズ第四回のテーマは、「Margaux」と致します。
Margaux
葡萄畑の総面積は約1500haで、メドック地区全体の約9%に相当。
平均的な総生産量は約900万本となります。
65の独立したシャトーのうち21シャトーが、第一級〜第五級に渡って、1855年の公式格付けに名を連ねています。
メドック6地区の中で最大面積となるマルゴーは、格付けシャトーの数も最大となります。
AOC Margauxを名乗れるのは5つの村々で、北から南に、Soussan、Margaux、Cantenac、Labarde、Arsacの順となっていますが、1855年の公式格付けを元に考えると、最重要コミューンはMargaux、次点でCantenacとなり、その他3コミューンは著しく重要度が下がります。
つまり、アペラシオンの中心部に重要シャトーが集中しているということです。
メドック地区の最南端に位置するMargauxは、より温暖なマイクロテロワールを形成しており、粘土石灰質の基盤に、砂礫質の表土が強い影響を与え、しっかりと熟した力強くも柔和な果実味と、リフト感の強い華やかなアロマに特徴があります。
一般的には、Ch. Margauxのイメージから、メドックの中でも最もエレガント、という印象がありますが、実際にはかなりパワフルな部類のアペラシオンとなります。
主にラズベリー、チェリー、レッドカラントの香味が交錯するフルーツ感に加え、スミレとスパイス、ローストのニュアンスが精妙なバランスで溶け込んでいます。
Margauxの格付けシャトー
Margauxの格付けシャトーを整理すると、第一級が1、第二級が5、第三級が10、第四級が3、第五級が2となっています。
Margauxは、その高い名声に反し、1855年の公式格付けと、現代の実力が最も一致していないアペラシオンとなります。その分、格付けに捉われず、慎重にワイン選びを行えば、コストパフォーマンスの高いワインに巡り合うこともできます。
また、格付け外にも第二級相当のMarojalliaを筆頭に、第三級相当のLabégorce、第四級相当のPaveil de Luze、Siran、D’Angludetなど、秀逸なシャトーが多くあります。
解説も交えながら、格付けシャトーを列挙していきます。
第一級
Ch. Margaux: Margaux
解説:
その名の通り、このアペラシオンの象徴であるCh. Margaux(混乱を避けるために、Ch.付きで表記)は、1970年代後半までは低迷していましたが、現在のオーナー一族であるメンツェロプロス家による再生を経て、紛うことなき第一級として眩いばかりの輝きを放っています。