一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回もボルドー地方について学んでいきます。
ボルドー地方に関する基礎的な情報は、無料のものが十分に存在していますので、本シリーズでは基本的に割愛しますが、その代わりにより深いところを探っていきます。
ボルドー地方シリーズ第六回のテーマは、「Pessac-Léognan」と致します。
Pessac-Léognan
Pessac-Léognanは、グラーヴ地区の北部に位置するアペラシオンです。より大きなGrave AOCの一部ですが、その歴史的な名声と高い品質から、1987年にようやく、独立したアペラシオンとして認定されました。葡萄畑の総面積は約1435haで、メドック地区のマルゴーとほぼ同等の規模になります。
ジロンド河の左岸に位置するメドック地区、そしてガロンヌ河の左岸に位置するグラーヴ地区を総称して、ボルドー左岸とするのが一般的となっています。
土壌はガロンヌ河がもたらした砂礫が主体となり、粘土砂質土壌や硬い岩盤層も見られます。一方のGrave AOCは砂質土壌が中心となるため、砂礫の存在がPessac-Léognanの個性を決定付ける大きな要因となっているのは間違いありません。
また、Pessac-Léognanでは、(厳密にはシャトーによって異なりますが)カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローの比率がほぼ同等、もしくはカベルネ・ソーヴィニヨンの方がやや優勢となるケースが多いのに対し、Grave AOCでは明確にメルローが優勢となります。
Pessac-Léognanの特に優れた例では、赤ベリー、すみれの華やかで優雅なアロマに、タバコの葉を思わせるスモーキーでアーシーなニュアンスが加わり、充実したタンニンと豊かな果実味のバランスが非常に素晴らしい、極めて高貴なワインとなります。
Grave地区公式格付け
メドック地区公式格付けから遅れること約100年、1953年にグラーヴ地区における最初の格付けが行われました。メドック公式格付け制定時に、Ch. Haut-Brion(第一級)のみが例外的にグラーヴ地区から選出されたことも良く知られていますが、グラーヴ地区全体で見ると、メドック地区に大きく遅れをとった形となります。
1959年の補完修正後は、長らくの間16のシャトーが公式格付けに名を連ねてきましたが、2005年を最後にCh. Latour Haut-Brionが消滅(Ch. La Mission Haut-Brionに併合)、2008年を最後にCh. Laville Haut-Brionが消滅(同じく、Ch. La Mission Haut-Brionに併合)したため、現在の格付けは実質的に14シャトーとなっています。